仮想通貨の口座を複数持つ3つの理由

1つの取引所で全部済ませたらダメなの?
ダメではないですが、取引所ごとに得意分野が違います。
仮想通貨(暗号資産)の取引所は、どこも同じサービスを出しているように見えます。
ところが実際には、手数料のかかり方、取扱銘柄、使えるサービスが取引所ごとに大きく違います。
ここでは、口座を複数持つ人が多い理由を3つに分けて解説します。
同じ銘柄でも買う場所で手数料コストが変わる
国内の取引所には、取引所が相手になって売買する「販売所」と、利用者どうしが売買する「取引所(板取引)」の2つの買い方があります。
販売所は操作がかんたんな代わりに、買値と売値の差(スプレッド)が実質的なコストになります。
たとえばCoincheckの販売所は、手数料相当額が0.1〜5.0%(一部の銘柄は2.0〜6.5%)と公式に示されています。
一方でCoincheckの取引所(板取引)では、BTCやETHなど主要21銘柄の売買手数料がメイカー・テイカーとも0%です。
さらにbitbankやGMOコインの取引所では、メイカー注文にマイナス手数料があり、注文が約定すると手数料の分を受け取れる仕組みになっています。
このように、同じビットコインでも「どの取引所の、どの買い方で買うか」で負担が変わるため、買う場所を選べるように口座を複数持つ人が多いのです。
取扱銘柄やサービスが取引所ごとに違う
取引所ごとに取り扱うコインの数も種類も違います。
Binance Japanは取扱66銘柄(日本円で直接買えるのは27銘柄)と公式に案内しており、国内では銘柄が多い部類です。
Coincheckの販売所は35銘柄で、SBI VCトレードは公式サイトのトップで35銘柄と表記しています。
またGMOコインのように、販売所・取引所・つみたて・貸暗号資産で対象の銘柄が少しずつ違う取引所もあります。
買いたい銘柄が1社に無いとき、別の取引所の口座があればすぐに買えます。
積立や貸暗号資産(コインを貸して利息を受け取るサービス)のような付帯サービスも取引所ごとに違うため、使いたい機能に合わせて口座を足す人もいます。
1社が止まっても資産を動かせる
見落とされがちですが、口座を分けておく最大の理由はリスク分散です。
実際に2026年は、取引所側の事情で使えなくなる出来事がいくつも起きています。
2026年に起きた取引所の停止・終了の例
- LINE BITMAX:2026年6月1日にサービスを終了し、暗号資産交換業を廃止
- 楽天ウォレット:2026年8月19日から暗号資産の出庫(外部への送付)を一時停止
- 海外の取引所:BybitやBitgetが日本居住者向けサービスの終了を発表
楽天ウォレットの出庫停止中も取引や入庫はできますが、コインを別の場所へ動かす手段は限られます。
口座が1つだけだと、こうした停止やシステム障害、メンテナンスのあいだは売買の手段がなくなります。
ほかの取引所にも口座があれば、相場が大きく動いた日でも別の口座で売買を続けられます。
仮想通貨の口座を複数持つメリットとデメリット

増やすと困ることもあるんじゃないの?
あります、とくに管理と確定申告の手間です。
口座を複数持つと便利になる反面、手間も増えます。
メリットとデメリットを並べて、自分にとって得になるかを先に判断しておきましょう。
複数口座のメリット
口座を複数持つメリット
- 手数料の安い取引所や買い方を選んで売買できる
- 1社に無い銘柄を別の取引所で買える
- メンテナンスや障害のときも別の口座で取引できる
- 取引所の終了や出庫停止のときに資産を移す先がある
- 積立・貸暗号資産など各社の得意なサービスを使える
いちばん効くのは、買う場所を選べることです。
少額をアプリで手軽に買う日は販売所、まとまった金額を買う日は板取引、というように使い分けると、同じ予算でも手元に残るコインの量が変わります。
たとえば1回に5万円分のビットコインを買う場合、販売所のスプレッドが数%あると、それだけで数千円分のコストになることがあります。
同じ5万円を板取引で指値注文すれば、手数料が0%やマイナスの取引所ではコストをほぼかけずに買えます。
もう1つは、2つ目の口座を「逃げ道」として持っておける安心感です。
口座開設には本人確認で数日かかることがあるので、困ってから作り始めても間に合いません。
複数口座のデメリット
口座を複数持つデメリット
- IDやパスワード、二段階認証の管理が増える
- 確定申告で全口座の損益をまとめる手間が増える
- 資金が分散し、各口座の残高が中途半端になる
- 口座間の移動に出金手数料や送付手数料がかかる
デメリットの多くは、やり方で小さくできます。
管理の手間は、口座ごとに役割を決めて、使わない口座に資金を残さないことで減らせます。
確定申告では、すべての取引所の損益を合算して計算する必要があります。
口座を増やすほど年間取引報告書の数も増えるので、取引の多い口座は2〜3つに絞るのが現実的です。
口座間の資金移動の手数料は、日本円の出金手数料が取引所ごとに違うため、あとで紹介する比較表で確認してから組み合わせを決めましょう。
仮想通貨の口座はいくつ持つ?目的別の数の目安

結局、口座はいくつ作ればいいの?
初心者ならまず2つ、多くても3つで十分です。
口座の数に正解はありませんが、増やすほど管理と申告の手間は確実に増えます。
目的ごとの目安を表にまとめました。
| 口座の数 | 向いている人 | 使い分けの例 |
|---|---|---|
| 1つ | まず少額で試したい人 | アプリで少額を買って値動きに慣れる |
| 2つ | 初心者の多く | メイン口座+手数料やサービスの違う予備口座 |
| 3つ | 銘柄や機能を広げたい人 | メイン+板取引用+銘柄の多い口座 |
| 4つ以上 | 取引に慣れた中級者以上 | キャンペーンや特定銘柄のために追加 |
初心者はメインとサブの2つから始める
はじめての人は、メイン口座とサブ口座の2つから始めるのがおすすめです。
メイン口座はアプリが使いやすく、ふだんの売買や積立に使う取引所を選びます。
サブ口座は、メインと手数料体系や取扱銘柄が違う取引所を選ぶと、使い分けの意味が出ます。
2つあれば、片方がメンテナンスや障害で止まっても取引の手段が残ります。
銘柄や機能を広げたいなら3つ
特定のアルトコインを買いたい、貸暗号資産で運用したいなど、目的がはっきりしてきたら3つ目を検討します。
たとえば「アプリで買う口座」「板取引で安く買う口座」「銘柄が多い口座」のように、3つの役割がそれぞれ違えば管理する意味があります。
逆に、役割が重なる口座を3つ持っても手間が増えるだけです。
4つ以上は管理の手間と見合うかで判断する
4つ以上になると、パスワードの管理や年間取引報告書の取りまとめが一気に面倒になります。
口座開設キャンペーンのために作る人もいますが、作ったあと放置すると、取引所からの重要なお知らせ(手数料の改定やサービス終了)を見落としやすくなります。
増やすなら「この口座で何をするか」を1行で言えるかを基準にしましょう。
口座開設キャンペーンで受け取れる特典は魅力的ですが、条件として一定額の入金や取引が求められることも多いため、条件を満たすために不要な売買をしないよう注意してください。
キャンペーンを目当てに作った口座は、特典を受け取ったら残高を整理し、メインかサブのどちらかにまとめておくと管理が増えません。
仮想通貨取引所の使い分けにおすすめの組み合わせ3パターン

どの取引所を組み合わせればいいの?
目的別に3つの組み合わせを用意しました。
ここでは国内の取引所を使った、目的別の組み合わせを3パターン紹介します。
まずは組み合わせに使う取引所の違いを比較表で確認しましょう。
| 取引所名 | 板取引の手数料 | 日本円の出金手数料 | 暗号資産の送付 | 使い分けでの役割 | 公式サイト |
|---|---|---|---|---|---|
Coincheck |
主要21銘柄は0% | 407円 | 銘柄ごとの手数料 | アプリで手軽に買うメイン | 公式サイトへ |
bitbank |
メイカー−0.02%(BTC/JPYは0.00%) | 550円(3万円以上770円) | BTCは0.0006 BTC | 板取引で安く買う | 公式サイトへ |
GMOコイン |
メイカーはマイナス | 公式で確認 | 銘柄ごとに確認 | つみたて・貸暗号資産 | 公式サイトへ |
SBI VCトレード |
メイカー−0.01%・テイカー0.05% | 無料 | 無料 | 資金の出し入れ用 | 公式サイトへ |
Binance Japan |
板取引あり | 銀行出金150円 | 国内の他社へは不可 | 銘柄の多さで選ぶ | 公式サイトへ |
※手数料は各社公式サイトの表示をもとにしています。改定されることがあるため、申し込み前に公式サイトで確認してください。
★パターン1:Coincheck+bitbank(手軽さと手数料の両立)
はじめての人にいちばんおすすめなのが、Coincheckとbitbankの組み合わせです。
Coincheckはアプリの画面がわかりやすく、販売所なら500円相当から購入できるので、最初の1枚目の口座に向いています。
ただし販売所はスプレッドが実質的なコストになるため、まとまった金額を買うときはbitbankの板取引を使います。
bitbankはBTC/JPYのメイカー手数料が0.00%、そのほかのペアはメイカーが−0.02%なので、指値で注文すれば手数料の負担を抑えられます。
少額はCoincheck、まとまった金額はbitbankと決めておくと、迷わずに使い分けられます。
★パターン2:GMOコイン+SBI VCトレード(運用と入出金のしやすさ)
積立や貸暗号資産でコツコツ増やしたい人には、GMOコインとSBI VCトレードの組み合わせが合います。
GMOコインは500円から自動で積み立てられる「つみたて暗号資産」や、保有コインを貸して利息を受け取る「貸暗号資産」があり、長く持つ前提の運用に使えます。
SBI VCトレードは日本円の入出金と暗号資産の入出庫が無料なので、資金を出し入れする口座として使いやすいのが特長です。
ただしSBI VCトレードの日本円入金はクイック入金のみで、銀行からの振込入金には対応していない点に注意してください。
★パターン3:Binance Japan+国内の別の取引所(銘柄の多さ重視)
いろいろなアルトコインを買ってみたい人は、取扱66銘柄のBinance Japanを組み合わせに入れる方法があります。
ここで注意したいのが、Binance Japanからは日本国内の他の取引所へ暗号資産を送れないことです。
公式はトラベルルール(送金時に送り手と受け手の情報を通知するルール)の規制を理由にしています。
そのためBinance Japanで買ったコインを別の国内取引所へ移して売る、という使い方はできません。
Binance Japanはそこで売買を完結させる口座と割り切り、日本円の出し入れや主要銘柄の売買はCoincheckなど別の取引所で行うと整理しやすくなります。
組み合わせを選ぶときの3つのポイント
3つのパターン以外の組み合わせを考えるときは、次の3点を確認すると失敗しにくくなります。
組み合わせ選びのチェックポイント
- 買い方が違うか:販売所中心の口座と板取引に強い口座を組み合わせる
- 銘柄が補い合うか:メインに無い銘柄をサブで買えるか
- 資金を動かしやすいか:日本円の出金手数料や送付の制限を確認する
とくに見落としやすいのが3つ目です。
日本円の出金手数料は、同じ国内の取引所でも無料のところから数百円かかるところまで差があります。
毎月のように口座間で日本円を動かすなら、出金が無料の口座を資金の出し入れ役にしておくと、1年で見たときの負担がかなり変わります。
反対に、ほとんど資金を動かさないなら、出金手数料よりも売買の手数料や使いやすさを優先して選んでかまいません。
仮想通貨の口座を複数持つときの注意点

複数持つとき、気をつけることは何なの?
税金・送金・セキュリティの3つは要注意です。
口座を増やしてから困らないよう、管理と税金、資金の移動で気をつけたい点をまとめます。
確定申告は全口座の損益を合算する
仮想通貨の売買で出た利益は、原則として雑所得として扱われます。
取引所ごとではなく、すべての口座の損益を1年分まとめて計算する必要があります。
ある取引所で利益、別の取引所で損失が出た場合も、合算した結果で申告します。
各取引所は年間取引報告書を出してくれるので、毎年1月ごろにすべての口座から取り寄せて保存しておきましょう。
同じ銘柄を複数の取引所で売買していると取得価額の計算が複雑になるため、国税庁が公開している計算用のシートや損益計算のツールを使うと楽になります。
会社員の場合、給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要になるケースがありますが、住民税の申告は別に必要です。
取引所間の送金は送付先と手数料を確認する
口座間でコインを動かすときは、送付先の取引所がその銘柄とネットワークに対応しているかを必ず確認します。
送付先のアドレスやネットワークを間違えると、コインが届かず取り戻せないことがあります。
国内の取引所どうしの送金はトラベルルールの対象で、送付先の取引所によっては送れない組み合わせがあります。
また、bitbankのBTC送付手数料は0.0006 BTCのように、送付のたびに手数料がかかる取引所もあります。
頻繁に移動させると手数料がかさむので、資金はなるべく役割を決めた口座に置いたままにするのがコツです。
パスワードと二段階認証は口座ごとに分ける
口座を増やすと、同じパスワードを使い回したくなります。
しかし1つの口座の情報が漏れると、使い回したすべての口座が狙われます。
複数口座のセキュリティ対策
- パスワードは口座ごとに別のものを設定する
- 二段階認証(ログインと出金の両方)を必ず有効にする
- パスワード管理アプリでまとめて管理する
- 使わなくなった口座は残高をゼロにしておく
資金を分けすぎず残高を定期的に確認する
口座を増やすと、どの取引所にいくら置いているかが把握しにくくなります。
少しずつ残高が散らばると、売りたいときに必要な数量が1つの口座にそろっていない、ということも起こります。
月に1回など日を決めて、各口座の日本円とコインの残高をまとめて確認する習慣をつけましょう。
長く持つコインは1つの口座にまとめ、売買用の資金だけを別の口座に置くと、管理がぐっと楽になります。
使わない口座も取引所のお知らせは確認する
口座を作ったまま使わずにいると、手数料の改定やサービス終了のお知らせを見落としやすくなります。
LINE BITMAXのように取引所そのものが終了する場合、決められた期限までに手続きをしないと返金の扱いが変わることもあります。
使わない口座は残高を移しておき、取引所からのメールだけは届くようにしておくと安心です。
複数の仮想通貨取引所に口座を作る順番と準備

2つ同時に申し込んでも大丈夫なの?
大丈夫ですが、1つずつ進めると迷いません。
口座は同時に申し込めますが、はじめての人は1つずつ順番に作るのが確実です。
1つ目の口座で売買に慣れてから2つ目を開設する
最初は使いやすいメイン口座を1つ開設し、日本円の入金からコインの購入、売却までを一度ひと通りやってみます。
流れがわかってから2つ目を開設すると、各社の画面の違いや手数料の違いに気づきやすくなります。
本人確認の審査には数日かかることがあるので、2つ目は「必要になってから」ではなく、メイン口座に慣れたら早めに申し込んでおきましょう。
開設前にそろえておくもの
国内の取引所の口座開設では、どこでもおおむね同じものを用意します。
口座開設で用意するもの
- 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど
- スマートフォン:顔写真の撮影とアプリでの本人確認に使う
- メールアドレス:口座ごとに受信を確認できるもの
- 本人名義の銀行口座:日本円の出金先として登録する
同じ本人確認書類で複数の取引所に申し込めます。
1つの取引所で複数の個人口座を作ることは基本的にできないため、口座を増やすときは別の取引所で開設します。
口座ごとの役割をメモしておく
口座を作ったら、「この口座は何に使うか」を一言でメモしておきましょう。
たとえば「Coincheck=アプリで少額」「bitbank=板取引でまとめ買い」と決めておくと、どこにいくら置いているかが把握しやすくなります。
確定申告の時期に年間取引報告書を集めるときも、このメモがそのまま取り寄せ先の一覧になります。
仮想通貨の口座の使い分けでよくある質問
仮想通貨の取引所を複数開設しても問題ない?
問題ありません。同じ人が別々の取引所に口座を開設することは一般的に行われています。ただし1つの取引所で同じ人が複数の個人口座を作ることは基本的にできません。
口座を複数持つと口座開設や維持にお金がかかる?
bitbankやSBI VCトレードのように、口座の開設と維持が無料の国内取引所は多くあります。費用がかかるのは主に売買の手数料やスプレッド、日本円の出金手数料、暗号資産の送付手数料です。
仮想通貨の口座はいくつ持つのがおすすめ?
初心者はメインとサブの2つがおすすめです。銘柄や積立などの機能を広げたくなったら3つ目を検討しましょう。4つ以上は管理と確定申告の手間が大きくなります。
複数の口座の利益と損失は相殺できる?
できます。仮想通貨の売買による所得はすべての取引所の分を合算して計算するため、ある口座の利益と別の口座の損失を通算した結果で申告します。
Binance Japanで買ったコインを他の国内取引所へ送れる?
送れません。Binance Japanはトラベルルールの規制を理由に、日本国内の他の取引所への暗号資産の出金をできないと案内しています。Binance Japanで買ったコインはBinance Japanで売る前提で使いましょう。
使わなくなった口座は解約したほうがいい?
残高をゼロにして放置するだけでも大きな問題はありません。ただし取引所からのお知らせは届くようにしておき、確定申告に必要な年間取引報告書は取り寄せておきましょう。
海外の取引所を使い分けに入れてもいい?
初心者にはおすすめしません。BybitやBitgetのように日本居住者向けサービスを終了した例があり、日本の登録を受けていない取引所はトラブル時に守られにくいためです。まずは金融庁に登録された国内取引所で組み合わせを考えましょう。
仮想通貨の口座を複数使い分けるときのまとめ
仮想通貨の口座を複数持つと、手数料の安い取引所で買える、1社に無い銘柄を別の口座で買える、取引所の停止や終了に備えられるという3つの利点があります。
一方で、パスワードの管理や確定申告での損益の合算など、口座を増やすほど手間も増えます。
初心者はまずメインとサブの2つを作り、それぞれの役割を決めておくのが失敗しにくい進め方です。
迷ったら、アプリで手軽に買えるCoincheckをメインにして、板取引で手数料を抑えたいときのbitbankを足す組み合わせから始めてみましょう。
2026年はLINE BITMAXの終了や楽天ウォレットの出庫停止など、1社だけに頼るリスクが見えた年でもあるので、2つ目の口座は早めに用意しておくと安心です。