仮想通貨の取引所を乗り換える前に知っておきたい基礎

乗り換えって、口座ごと引っ越しできるの?
口座は引っ越せないので、新しい口座を作って中身だけ移します。
仮想通貨の取引所の乗り換えとは、今使っている取引所から別の取引所へ、資産と取引の場所を移すことです。
銀行の口座と同じで、取引所の口座そのものを別の会社へ移すことはできません。
そのため、乗り換え先で新しく口座を開設し、資産だけを移すという流れになります。
乗り換えを考える主な理由
乗り換えを考えるきっかけは人によって違いますが、多いのは次のような理由です。
取引所を乗り換える主な理由
- 売買の手数料やスプレッドを安くしたい
- 買いたい銘柄が今の取引所で扱われていない
- レンディングや積立など、使いたいサービスがない
- 取引所のサービス終了や、送金停止などの知らせが出た
特に、サービス終了の知らせが出た場合は、期限が決まっているので早めに動く必要があります。
たとえばLINE BITMAXは2026年6月1日にサービスを終了し、段階的に購入や入金が止まっていきました。
終了や停止の知らせは期限の直前ほど手続きが混み合うので、知らせを見たらすぐに計画を立てましょう。
乗り換えでかかるお金は3種類
乗り換えには、移し方によって次のような費用がかかります。
| 費用 | かかる場面 | 目安の調べ方 |
|---|---|---|
| 売買のコスト | 売却や買い直しをするとき | 販売所のスプレッドと取引所の手数料 |
| 日本円の出金手数料 | 日本円を銀行へ出金するとき | 各社の手数料ページ |
| 暗号資産の送付手数料 | 暗号資産をそのまま送るとき | 銘柄ごとの送付手数料一覧 |
たとえばCoincheckの日本円の出金手数料は407円、OKJは出金額に応じて400円・770円・1,320円です。
どちらの方法が安いかは、移す金額と銘柄の数によって変わるので、次の章で比べ方を説明します。
乗り換えのタイミングの考え方
乗り換えは、相場が大きく動いている最中を避け、落ち着いている時期に進めるのがおすすめです。
相場が急に動いているときは、取引所への注文や送付が集中し、反映に時間がかかることがあります。
また、乗り換え先の口座開設は相場とは関係なく進められるので、乗り換えを考え始めた時点で先に済ませておくと、良いタイミングを逃しません。
年末に乗り換える場合は、売却の時期によってその年の所得に入るか翌年に入るかが変わるので、税金の面からも日程を考えておきましょう。
乗り換えでも口座は残しておける
乗り換えたあとも、元の取引所の口座はすぐに解約する必要はありません。
残高をゼロにしておけば、口座を残していても費用はかからないことがほとんどです。
キャンペーンや新しい銘柄の取り扱いが始まったときに、また使える選択肢として残しておくのも1つの方法です。
乗り換えの方法は2つ|売却して移すか、そのまま送る移管か

売ってから移すのと、そのまま送るのはどっちがいいの?
長く持ち続けたいならそのまま送る移管がおすすめです。
取引所の乗り換えには、大きく分けて2つの方法があります。
| 比べる点 | 売却して日本円で移す | そのまま送る(移管) |
|---|---|---|
| 手順の多さ | 売却・出金・入金・購入の4段階 | アドレス登録・送付の2段階 |
| 主な費用 | 売買コスト+日本円の出金手数料 | 暗号資産の送付手数料 |
| 税金 | 売却した時点で利益が確定する | 送るだけでは売却にならない |
| 失敗したとき | 振込先の間違いなら銀行で対応できる | アドレスの間違いは取り戻しにくい |
売却して日本円で移す方法重要度:★★★☆☆
1つ目は、今の取引所で暗号資産を売却し、日本円にしてから乗り換え先へ移す方法です。
手順は「売却する→日本円を銀行へ出金する→乗り換え先へ入金する→買い直す」の4段階です。
暗号資産の送付に比べて、アドレスの間違いで資産をなくす心配がないのが安心できる点です。
一方で、売るときと買うときの2回、スプレッドや手数料がかかります。
さらに、売却した時点で利益が出ていれば、その利益は税金の計算の対象になります。
そのまま送る移管の方法重要度:★★★★★
2つ目は、保有している暗号資産を売らずに、乗り換え先の取引所へそのまま送る方法です。
この記事では、この方法を「移管」と呼びます。
国税庁は、暗号資産の売却や、暗号資産同士の交換、商品の購入に使ったときに所得が生じるという考え方を示しています。
自分の口座から自分の口座へ送るだけなら売却にはあたらないので、売らずに送れば、その時点で利益は確定しないと考えられています。
ただし、送付手数料を暗号資産で支払う場合の扱いなど細かな点もあるので、金額が大きい人は税理士や税務署に確認すると安心です。
売却して移すときのコツ重要度:★★★☆☆
売却して日本円で移す場合は、売る場所を「販売所」ではなく「取引所(板取引)」にできないかを先に確かめましょう。
販売所は買う価格と売る価格の差(スプレッド)が広く、売るだけでも見えないコストがかかります。
取引所の板で売れば、スプレッドの代わりに小さな手数料だけで済むことが多いです。
また、売却から乗り換え先での買い直しまでには数日かかることがあり、その間に価格が上がると同じ数量を買い戻せないこともあります。
どちらを選ぶかの目安重要度:★★★★☆
保有している銘柄が1〜2種類で、これからも持ち続けたいなら、移管がおすすめです。
反対に、細かい銘柄をたくさん持っていて、乗り換えを機に整理したいなら、売却して日本円で移すほうが手間は少なくなります。
乗り換え先で扱っていない銘柄は送れないので、その銘柄だけは売却するしかありません。
移管している間の価格の動き
そのまま送る移管では、送っている間も暗号資産を持ち続けているので、価格が動いても数量は変わりません。
これに対して売却して移す方法では、売ってから買い直すまでの間に価格が上がると、同じ金額で買える数量が減ります。
数量を減らさずに移したい人にとっては、移管のほうが価格の動きを気にせずに済むという点も大きな違いです。
仮想通貨を移管するやり方|送付の手順5ステップ

送金を間違えたら戻ってこないって聞いて怖いんだけど、大丈夫?
手順どおりに進め、少額で試してから本番を送れば安心です。
ここでは、暗号資産をそのまま乗り換え先へ送る手順を、5つのステップで説明します。
画面の名前は取引所によって違いますが、流れはどこもほぼ同じです。
STEP1:乗り換え先で口座を開設する
まず、乗り換え先の取引所で口座を開設し、本人確認まで済ませます。
本人確認が終わるまでは入金や受け取りができないことが多いので、余裕を持って始めましょう。
あわせて、二段階認証も設定しておくと、受け取ったあとの資産を守れます。
STEP2:乗り換え先で受け取り用のアドレスを確認する
次に、乗り換え先の取引所で、送りたい銘柄の「入庫」や「受け取り」の画面を開きます。
そこに表示される英数字の文字列が、受け取り用のアドレスです。
アドレスは銘柄ごとに違うので、ビットコインを送るならビットコインのアドレスを必ず選んでください。
銘柄によっては、アドレスとは別に「宛先タグ」や「メモ」の入力が必要なものもあります。
STEP3:送り元で送付先アドレスを登録する
今の取引所の「送付」や「出庫」の画面を開き、STEP2で確認したアドレスを送付先として登録します。
アドレスは手で打たず、必ずコピーして貼り付けてください。
登録のときに、送り先の取引所名を選ぶ画面が出ることがありますが、これは後で説明するトラベルルールのための確認です。
STEP4:少額で試し送りする
いきなり全額を送らず、まずは少額だけ送って、乗り換え先に届くかを確かめます。
試し送りにも送付手数料はかかりますが、全額を失うことに比べれば小さな保険料です。
乗り換え先の画面で入庫が反映されたのを確認してから、次のステップに進みましょう。
STEP5:残りを送って反映を確認する
試し送りが届いたら、残りの暗号資産を送ります。
送付には、ネットワークの混み具合によって数分から数時間かかることがあります。
乗り換え先の残高に反映されたら、送り元の残高がゼロになっているかも確かめておきましょう。
同じ銘柄でもネットワークが違うと届かない
銘柄によっては、送るときに使うネットワーク(チェーン)を選べるものがあります。
送り元と送り先で選んだネットワークが違うと、アドレスが正しくても届かないことがあります。
受け取り画面に表示されているネットワークの名前と、送付画面で選ぶネットワークの名前が同じかを、送る前に必ず見比べてください。
迷ったときは、乗り換え先の入庫画面に書かれている対応ネットワークに合わせるのが基本です。
送付の記録を残しておく
送付が終わったら、送った日時、銘柄、数量、送付手数料を記録しておきましょう。
あとで売却したときに利益を計算するには、その暗号資産をいくらで手に入れたかが必要になります。
取引所を移ると、元の取引所の購入履歴が新しい取引所の画面には出てこないため、計算に必要な情報が分かれてしまいます。
元の取引所の取引履歴は、口座を解約する前にダウンロードして保存しておくと、確定申告のときに困りません。
国内の取引所どうしでも送れない場合がある|トラベルルールの注意点

国内の取引所どうしなら、どこにでも送れるんじゃないの?
実は規制の関係で、送れない組み合わせがあるんです。
暗号資産を送るときに、近年とても大事になっているのが「トラベルルール」です。
これを知らずに送ろうとすると、送付先の登録で止まったり、そもそも送れなかったりします。
トラベルルールとは重要度:★★★★☆
トラベルルールとは、暗号資産を送るときに、送る人と受け取る人の情報を取引所どうしで受け渡すルールです。
マネーロンダリングなどの不正を防ぐための国際的なルールで、日本でも国内の取引所に導入されています。
取引所によって使っている情報の受け渡しの仕組みが違うため、仕組みが合わない取引所どうしでは送付ができません。
実際に送れない例重要度:★★★★★
たとえばBinance Japanは、トラベルルールの規制により、自分のアカウントから日本国内の他の暗号資産交換業者への出庫はできないと公式に案内しています。
一方で、MetaMaskのような自分で管理するウォレットへの出庫はできるとされています。
楽天ウォレットも、出庫先の取引所によっては規制上出庫できないとして、出庫できない国内の業者の一覧を公開しています。
送り元と送り先の組み合わせによっては送れないので、送る前に両方の取引所の案内を確認してください。
送付そのものが止まっている取引所もある重要度:★★★★☆
トラベルルールとは別に、取引所が送付のサービスを一時的に止めていることもあります。
楽天ウォレットは、2026年8月19日から暗号資産の出庫サービスを一時停止しており、再開の時期は案内されていません。
このように送付が止まっている間は、売却して日本円で移す方法しか選べません。
乗り換えを決めたら、まず今の取引所のお知らせのページで、送付に関する案内が出ていないかを確認しましょう。
送れないときの選び方重要度:★★★☆☆
送り元と送り先の組み合わせで送れないと分かったときは、売却して日本円で移す方法に切り替えるのがいちばん確実です。
自分で管理するウォレットを経由して送る方法もありますが、ウォレットの管理やネットワークの知識が必要になります。
初心者のうちは、慣れない経路で送って資産をなくすリスクを取るより、売買コストを払ってでも日本円で移すほうが安心です。
取引所を変更する前の注意点|建玉・積立・手数料の確認

送る前に、ほかに確かめておくことはあるの?
レバレッジの建玉や積立の設定は、先に片付けておきましょう。
資産を送る前に、今の取引所で片付けておくことがいくつかあります。
これを忘れると、移したつもりでも元の取引所で取引が続いてしまうことがあります。
レバレッジの建玉は送れない重要度:★★★★★
レバレッジ取引で持っている建玉(ポジション)は、別の取引所へ移すことができません。
乗り換える前に決済して、証拠金を日本円や暗号資産に戻しておく必要があります。
決済した時点で損益が確定するので、相場の状況を見てタイミングを選びましょう。
建玉を残したまま放置すると、相場が急に動いたときにロスカットされるおそれもあります。
積立やレンディングの設定を止める重要度:★★★★☆
毎月の積立を設定している場合は、乗り換え前に止めておかないと、元の取引所で買い付けが続きます。
レンディング(貸暗号資産)に出している暗号資産は、貸出期間が終わるまで送れないことがほとんどです。
GMOコインの貸暗号資産のように、貸出開始日や償還日が決まっているサービスもあるので、日程を確認してから計画を立てましょう。
送付手数料と最低送付額を確かめる重要度:★★★☆☆
暗号資産の送付手数料は、取引所と銘柄によって大きく違います。
送付手数料が無料の取引所もあれば、銘柄によっては数百円から数千円分かかることもあります。
また、一度に送れる最低の数量が決まっている銘柄もあるので、少額の銘柄はそもそも送れないことがあります。
手数料と最低送付額を見て、送るより売ったほうが得な銘柄がないかを確かめておきましょう。
日本円の残高も忘れずに出金する重要度:★★★☆☆
暗号資産を送り終えても、口座に日本円が少し残っていることがよくあります。
日本円は暗号資産として送ることができないので、登録した銀行口座へ出金して移します。
出金手数料より少ない金額しか残っていない場合は、出金するとかえって損になるので、少額の暗号資産を買って一緒に送るなど、残し方も考えておきましょう。
乗り換え先の取引所の選び方|おすすめの見るポイント

次の取引所は、どこを見て選べばいいの?
乗り換えの理由になった不満が解消されるかで選ぶのが基本です。
乗り換え先を選ぶときは、「なぜ乗り換えたいのか」をはっきりさせてから比べると失敗しません。
金融庁・財務局に登録された取引所を選ぶ重要度:★★★★★
まず前提として、日本に住んでいる人が使う取引所は、金融庁・財務局に登録された暗号資産交換業者から選びましょう。
海外の取引所の中には、金融庁から無登録で営業しているとして警告を受けているところもあります。
Bitgetのように、日本に住む人向けのサービスを終了すると発表した取引所もあるので、乗り換え先にするのは避けてください。
扱っている銘柄とサービスを比べる重要度:★★★★☆
今持っている銘柄を移管したいなら、乗り換え先がその銘柄を扱っているかを最初に確かめます。
Coincheckの販売所は35銘柄を扱っているなど、取引所によって扱う銘柄の数は大きく違います。
積立やレンディングを使いたい場合は、そのサービスの対象銘柄も合わせて確認しておきましょう。
手数料は「売買」と「入出金」の両方を見る重要度:★★★★☆
手数料を下げたくて乗り換える場合は、売買の手数料だけでなく、日本円の出金手数料や送付手数料も比べます。
売買の手数料が安くても、出金のたびに数百円かかると、少額で何度も出し入れする人には負担になります。
自分が月に何回くらい入出金するかを考えて、合計でいくらかかるかで比べるのがコツです。
アプリの使いやすさとサポートも見る重要度:★★★☆☆
毎日のように価格を確かめる人にとっては、スマホアプリの見やすさも大切な比較のポイントです。
多くの取引所は口座開設が無料なので、気になる取引所のアプリを入れて、実際に画面を触ってから決めるのも1つの方法です。
送付が届かないなどのトラブルのときに、問い合わせの窓口がどれだけ使いやすいかも、長く使ううえでは大切になります。
仮想通貨の取引所の乗り換えでよくある質問
取引所を乗り換えると税金はかかりますか?
暗号資産を売却して日本円にした場合は、利益が出ていればその利益が税金の計算の対象になります。売らずに自分の口座どうしで送るだけなら、売却にはあたらないと考えられています。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、税理士や税務署に相談してください。
乗り換えにはどれくらい時間がかかりますか?
乗り換え先の口座開設と本人確認に数日かかることがあります。暗号資産の送付そのものは、ネットワークの混み具合によって数分から数時間ほどです。売却して日本円で移す場合は、銀行への出金に1〜2営業日ほど見ておくと安心です。
送り先のアドレスを間違えたらどうなりますか?
存在しないアドレスや別の銘柄のアドレスに送ると、取り戻せないことがあります。アドレスは必ずコピーして貼り付け、先頭と末尾の数文字を目で確かめてください。少額での試し送りをすれば、全額を失うリスクを大きく減らせます。
元の取引所の口座は解約したほうがいいですか?
残高をゼロにしておけば、口座を残しておいても問題はありません。使わない口座のパスワードの管理が不安なら、解約しておくのも1つの方法です。解約の前には、日本円と暗号資産がすべて移っていることを確認してください。
レバレッジ取引の建玉はそのまま移せますか?
建玉は別の取引所へ移せません。乗り換え前に決済して損益を確定させる必要があります。決済のタイミングによって損益が変わるので、相場の状況を見てから決めましょう。
Binance Japanから国内の別の取引所へ送れますか?
Binance Japanは、トラベルルールの規制により、日本国内の他の暗号資産交換業者への出庫はできないと案内しています。自分で管理するウォレットへの出庫はできるとされているので、移す場合は売却して日本円で出金する方法も合わせて検討してください。
乗り換え先で同じキャンペーンは受けられますか?
口座開設のキャンペーンは、取引所ごとに条件が違い、すでに口座を持っている人は対象外のことがあります。乗り換え先で初めて口座を作る場合は対象になることが多いので、開設前にキャンペーンの条件を確認しておくとお得です。
少額しか持っていなくても移管したほうがいいですか?
送付手数料は数量に関係なく一定のことが多いので、少額だと手数料の割合が大きくなります。手数料を差し引くとほとんど残らない場合は、売却して日本円で移すか、元の取引所でそのまま持ち続けるほうが得なこともあります。送る前に、手数料と最低送付額を確認してください。
仮想通貨の取引所の乗り換えまとめ
仮想通貨の取引所の乗り換えは、売却して日本円で移す方法と、暗号資産をそのまま送る移管の2通りです。
長く持ち続けたい銘柄は移管、細かい銘柄を整理したいなら売却と、目的に合わせて選びましょう。
送る前には、乗り換え先で口座と受け取りアドレスを用意し、トラベルルールで送れる組み合わせかを確認してください。
レバレッジの建玉や積立の設定は先に片付け、本番の前に少額で試し送りをすれば、失敗の多くは防げます。
元の取引所の取引履歴は、口座を解約する前にダウンロードして保存しておくと、確定申告のときに困りません。
乗り換えを考えたら、まずは乗り換え先の口座開設から始めて、余裕を持って資産を移していきましょう。