仮想通貨の取引所でマイナンバーの提出が必要な理由

銀行より仮想通貨のほうが厳しい気がするけど、気のせいなの?
税務署へ取引を報告する仕組みが広がり、番号が欠かせないんです。
仮想通貨(暗号資産)の取引所がマイナンバーの提出を求めるのは、取引所が利用者の取引について税務署へ書類を出す必要があるからです。
税務署に出す書類には、取引した人を正しく特定するための個人番号を書く決まりがあります。
そのため取引所は、口座開設のときや、対象のサービスを使い始めるときに、利用者からマイナンバーを受け取っています。
ここでは、提出が求められる主な理由を3つに分けて説明します。
レバレッジ取引は税務署へ支払調書が出される
1つ目の理由は、レバレッジ取引(暗号資産デリバティブ取引)の利益について、取引所が税務署へ支払調書を出しているためです。
暗号資産デリバティブ取引は、2020年5月に施行された改正金融商品取引法で、金融商品取引法の対象になりました。
これにより、取引所は国税庁が定める「先物取引に関する支払調書(暗号資産デリバティブ取引用)」を作って税務署へ提出しています。
支払調書には取引した人の個人番号を書く必要があるので、レバレッジ取引を使う人はマイナンバーの告知が必要になります。
現物の売買しかしない人でも、口座開設の時点でまとめてマイナンバーを登録してもらう取引所が多いのは、あとからレバレッジ取引を申し込んだときに手続きを止めないためです。
現物取引も年間取引報告書を税務署へ出す仕組みができた
2つ目の理由は、現物取引についても、取引所が税務署へ報告する制度が新しく作られたためです。
令和8年度(2026年度)税制改正では、一定の暗号資産(特定暗号資産)の利益を20%の申告分離課税にする仕組みと、取引所が年間の取引内容を所轄税務署へ報告する制度が設けられました。
この報告書には、取引相手の氏名・住所に加えて個人番号を書くことになっています。
申告分離課税の適用は2028年1月からが有力とされている段階で、報告の細かい様式はこれから国税庁が示す予定です。
それでも取引所から見れば、いずれ全員分のマイナンバーが必要になるため、早めに集めておく動きが進んでいます。
マイナンバーは法律で決められた手続き以外に使えない
3つ目として知っておきたいのは、取引所がマイナンバーを受け取る目的は税の手続きに限られているという点です。
マイナンバー法(番号法)では、個人番号を使ってよい事務が法律で決められており、取引所が営業や広告のために使うことはできません。
また、受け取ったマイナンバーは厳重に管理することが義務付けられ、目的外の利用や漏えいには罰則もあります。
取引所がマイナンバーを使う場面
- レバレッジ取引:先物取引に関する支払調書(暗号資産デリバティブ取引用)に記載する
- 現物取引:令和8年度税制改正で作られた年間取引報告書に記載する
- 使えない場面:営業・広告・税以外の目的には使えない
つまり、マイナンバーを出すことで取引所が自由に情報を使えるようになるわけではありません。
不安な場合は、各取引所が公開している「特定個人情報の取扱い」や「個人情報保護方針」のページで、利用目的が税の手続きに限られているかを確認してから提出すると安心です。
仮想通貨のマイナンバー提出方法と必要な書類

マイナンバーを出すときって、番号だけ入力すればいいの?
番号と本人の確認が要るので、書類の写真もあわせて送ります。
マイナンバーの提出は、ほとんどの国内取引所でスマホのアプリかWebサイトから行えます。
郵送で書類を送る必要はなく、画面の案内に沿って書類を撮影すれば数分で終わるのが一般的です。
ただし、マイナンバー法では個人番号を受け取る側に「番号が正しいかの確認(番号確認)」と「提出した人が本人かの確認(身元確認)」の両方が求められています。
そのため、用意する書類の組み合わせは手元にある書類によって変わります。
マイナンバーカードがあれば1枚で済む
最も手続きが早いのは、マイナンバーカードを使う方法です。
マイナンバーカードは、表面で氏名・住所・顔写真による本人確認ができ、裏面に個人番号が書かれているため、1枚で番号確認と身元確認の両方を満たせます。
取引所によっては、スマホでマイナンバーカードのICチップを読み取るだけで本人確認とマイナンバーの登録が終わるところもあります。
たとえばSBI VCトレードは、口座開設の流れの中で「マイナンバーで口座開設」アプリなら最短5分と案内しています。
Binance Japanも、本人確認でマイナンバーカードのICチップ読み取りに対応しています。
マイナンバーカードが無いときの書類の組み合わせ
マイナンバーカードを持っていない場合は、番号が分かる書類と、顔写真付きの本人確認書類を組み合わせて提出します。
| 番号確認の書類 | 身元確認の書類 | 注意点 |
|---|---|---|
| マイナンバーカード | 不要(カード1枚で両方) | 表面と裏面の両方を撮影することが多い |
| 通知カード | 運転免許証など | 氏名・住所が住民票と同じ場合だけ使える |
| マイナンバー記載の住民票の写し | 運転免許証など | 発行から一定期間内のものを求められる |
通知カードは2020年5月に新規発行が終わっていますが、記載された氏名・住所が住民票と一致していれば、今も番号確認の書類として使えます。
引っ越しや結婚で住所・氏名が変わっている場合は通知カードが使えないので、マイナンバー記載の住民票の写しを役所で取り寄せましょう。
身元確認に使える書類は取引所ごとに違い、たとえばSBI VCトレードでは健康保険証・パスポート・運転経歴証明書は使えません。
申し込む前に、各取引所の公式ヘルプで使える書類の一覧を確認しておくと手戻りがありません。
口座開設のどの段階でマイナンバーを入力するか
マイナンバーを入力するタイミングは、取引所によって次の2つに分かれます。
1つは、口座開設の申し込みと同時に本人確認書類と一緒に登録する方法で、多くの国内取引所がこの形です。
もう1つは、口座を開いたあとにマイページの「マイナンバー登録」などのメニューから追加で提出する方法です。
マイナンバー提出のおおまかな流れ
- 取引所のアプリかWebサイトにログインする
- 本人確認またはマイナンバー登録のメニューを開く
- 個人番号を入力し、確認書類を撮影してアップロードする
- 取引所の審査が終わると、登録完了のメールが届く
書類の写真がぼやけていたり、指で文字が隠れていたりすると審査で差し戻されます。
明るい場所で、書類の四隅がすべて写るように撮影するのがコツです。
審査で差し戻されやすい提出のしかた
マイナンバーの登録は、書類の不備で差し戻されると、やり直しのぶんだけ取引を始めるのが遅れます。
差し戻しの原因になりやすいのは、次のようなケースです。
差し戻されやすい例
- 写真の不備:光の反射で番号が読めない、書類の端が切れている
- 書類の不一致:申し込みの住所と書類の住所が違う
- 期限切れ:有効期限が過ぎた本人確認書類や、古い住民票の写しを使っている
- 番号の入力ミス:12桁の個人番号を1桁まちがえて入力している
特に多いのが、引っ越し後に住所変更をしていない運転免許証を使ってしまうケースです。
申し込みフォームに入力する住所は、提出する書類に書かれた住所と一字一句そろえておきましょう。
差し戻しの連絡はメールで届くので、提出後の数日間は取引所からのメールを確認できる状態にしておくと、すぐに出し直せます。
法人口座では法人番号を提出する
法人として口座を作る場合は、会社のマイナンバーにあたる13桁の法人番号を提出します。
法人番号は国税庁の法人番号公表サイトで誰でも確認できる番号なので、個人番号ほど扱いに神経質になる必要はありません。
ただし、取引担当者や実質的支配者の本人確認書類は別に求められるため、登記事項証明書などの書類とあわせて準備しておきましょう。
取引所にマイナンバーを未提出のままにするとどうなる?

面倒だからマイナンバーを出さずに放っておいたら、口座が止められちゃうの?
使えるサービスが限られることがあるので、早めに出しましょう。
マイナンバーを提出しないまま取引所を使い続けた場合の扱いは、法律で一律に決まっているわけではなく、取引所ごとのルールで変わります。
ここでは、未提出のときに起こりやすいことと、提出を後回しにしないほうがよい理由を整理します。
レバレッジ取引の申し込みができないことがある
レバレッジ取引は支払調書の対象なので、取引所はマイナンバーを受け取らないまま取引をさせることができません。
そのため、レバレッジ取引の申し込み条件にマイナンバーの登録を入れている取引所があります。
現物の売買だけをする予定でも、あとから「レバレッジ取引も試したい」と思ったときに手続きが止まるので、最初にまとめて出しておくほうが手間がかかりません。
取引所からの提出依頼や確認の連絡が続く
マイナンバーを集めることは取引所にとって法律上の手続きなので、未提出の利用者にはメールやアプリの通知で提出をお願いする連絡が届きます。
取引所によっては、提出が済むまで一部の機能を使えないようにしたり、ログインのたびに登録画面を表示したりすることもあります。
具体的な扱いは取引所の利用規約や公式ヘルプに書かれているので、未提出のままにしている人は一度確認しておきましょう。
マイナンバーを出さなくても税金の申告は必要
勘違いしやすいのが、「マイナンバーを出していなければ税務署に取引が知られない」という考え方です。
仮想通貨の利益が出たら、マイナンバーの提出とは関係なく、自分で確定申告をする義務があります。
現在の制度では、仮想通貨の利益は原則として雑所得として扱われ、給与など他の所得と合算して税金を計算する総合課税です。
会社員の場合、給与以外の所得の合計が年20万円を超えると確定申告が必要になります。
申告をしないままにすると、あとから無申告加算税や延滞税がかかるおそれがあるので注意しましょう。
未提出のままにしたときのデメリット
- レバレッジ取引など一部のサービスを申し込めない
- 提出のお願いの連絡が何度も届く
- 確定申告の義務は変わらず残る
マイナンバーの提出は、取引所が法律で決められた報告をするための手続きで、出したからといって税金が増えるわけではありません。
むしろ提出を済ませておけば、取引所から届く年間取引報告書を使って確定申告の計算がしやすくなります。
提出を後回しにせず口座開設と同時に済ませる
マイナンバーの提出は、口座を作るときにまとめて済ませてしまうのが一番手間がかかりません。
あとから提出しようとすると、書類を探し直したり、引っ越しで住所が変わって住民票を取り寄せたりと、準備の手間が増えがちです。
また、仮想通貨は値動きが大きいので、買いたいタイミングで手続きが止まると、思っていた価格で買えないこともあります。
口座開設の画面でマイナンバーの入力を求められたら、その場でマイナンバーカードを用意して一緒に登録しておきましょう。
2026年から必要になった居住地国の届出とマイナンバーの違い

マイナンバーと「居住地国の届出」って同じものじゃないの?
目的が違うので、マイナンバー登録済みでも届出は別に必要です。
2026年1月1日から、国内の取引所では「居住地国等の届出(自己証明)」という新しい手続きが始まりました。
マイナンバーの提出と時期が重なるので混同しやすいのですが、両者は目的も中身も違います。
居住地国の届出は海外の税務当局と情報を交換するための手続き
居住地国の届出は、OECDが定めた暗号資産の報告の枠組み(CARF)にもとづく制度です。
国税庁の案内では、2026年1月1日以後に国内の取引所と新しく取引を始める人と、2025年12月31日時点で取引をしている人が、取引所へ居住地国などを書いた届出書を出す必要があるとされています。
居住地国が日本以外の外国にある人の取引情報は、2027年以降、毎年4月30日までに取引所から税務署へ報告され、租税条約にもとづいて外国の税務当局と交換されます。
日本にだけ住んでいる人は、居住地国を「日本」と届け出れば手続きは終わります。
海外に住んだことがない人でも届出そのものは必要なので、「自分には関係ない」と案内を放置しないようにしましょう。
入力はアプリの画面で居住地国を選ぶだけのことが多く、日本だけに住んでいる人なら数分で終わります。
マイナンバーと居住地国の届出の違い
2つの手続きの違いを表にまとめました。
| 項目 | マイナンバーの提出 | 居住地国の届出 |
|---|---|---|
| 目的 | 国内の税務署への報告に使う | 外国の税務当局との情報交換に使う |
| 主な入力内容 | 個人番号と確認書類 | 居住地国名、外国の納税者番号(TIN) |
| 対象 | 取引所の利用者(サービスにより異なる) | 2026年以降に取引する人と既存の利用者 |
マイナンバーを登録していても、居住地国の届出が済んでいなければ別に求められる点に注意しましょう。
届出をしないと取引を始められない取引所もある
居住地国の届出は、口座開設の手続きの中に組み込まれていることがあります。
たとえばCoincheckは公式ヘルプで、届出が完了しない場合は口座開設の手続きが完了せず取引を開始できないと案内しています。
2025年までに口座を作った人にも、2026年1月以降に順次届出のお願いが届いているので、メールやアプリの通知を見落とさないようにしましょう。
届出の内容がうそだったり不正確だったりすると罰則の対象になる可能性もあるため、引っ越しなどで居住地国が変わったときは速やかに届け直します。
マイナンバーを提出するときに確認したい安全対策

マイナンバーが漏れて悪用されたらと思うと、やっぱり怖いな。
出す相手と入力する場所を確かめるのが一番の対策ですよ。
マイナンバーは大切な情報ですが、番号を知られただけで預金を引き出されたり、勝手に口座を作られたりすることはありません。
手続きでは顔写真付きの書類などによる本人確認が必ずセットになっているためです。
それでも、提出する相手と方法を間違えなければ防げるトラブルは多いので、次のポイントを押さえておきましょう。
金融庁に登録された国内取引所にだけ提出する重要度:★★★★★
マイナンバーを提出するのは、金融庁の暗号資産交換業者として登録されている国内の取引所に限りましょう。
登録業者は、マイナンバー法と資金決済法にもとづいて個人情報の管理体制を求められ、金融庁の監督も受けています。
登録の有無は、金融庁のWebサイトにある「暗号資産交換業者登録一覧」で確認できます。
一覧に載っていない海外の取引所は、日本の法律にもとづく個人情報の管理や監督の対象外なので、マイナンバーを渡す相手としては適していません。
取引所の名前が似ているだけの偽サイトもあるため、一覧に書かれた会社名と、手続きしようとしているサイトの運営会社名が同じかも見比べておきましょう。
公式アプリかWebサイトからだけ入力する重要度:★★★★★
取引所を名乗るメールやSMSに書かれたリンクから、マイナンバーを入力させようとする詐欺が知られています。
マイナンバーを入力するときは、メールのリンクを使わず、自分でインストールした公式アプリか、ブックマークした公式サイトから手続きしましょう。
メールへの返信でマイナンバーや書類の写真を送るのはやめましょう。
書類の写真は手続きが終わったら端末から消す重要度:★★★☆☆
撮影したマイナンバーカードや住民票の写真は、スマホの写真フォルダやクラウドに残りがちです。
登録が完了したら、端末とクラウドの両方から削除しておくと、スマホを失くしたときの心配が減ります。
複数の取引所に出すときは管理を一覧にしておく重要度:★★☆☆☆
仮想通貨は、手数料や取扱銘柄に合わせて複数の取引所を使い分ける人も多くいます。
マイナンバーはどの取引所にも同じ番号を出すことになるので、どこに提出済みかを手元のメモにまとめておくと、使わなくなった口座を解約するときの判断がしやすくなります。
安全に提出するためのチェック
- 金融庁の登録一覧に載っている取引所か確認した
- 公式アプリかブックマークした公式サイトから入力している
- 登録後に書類の写真を端末から削除した
よくある質問
仮想通貨の取引所にマイナンバーを提出しないと口座開設できませんか?
多くの国内取引所は、口座開設の手続きの中でマイナンバーの登録を求めています。開設後に追加で提出できる取引所もありますが、レバレッジ取引など一部のサービスは提出が済むまで申し込めないことがあります。
マイナンバーを提出すると税金が増えますか?
増えません。マイナンバーは取引所が税務署へ報告する書類に使うためのもので、税額そのものは利益の額で決まります。利益が出ていれば、提出の有無に関係なく確定申告が必要です。
通知カードしか持っていませんが提出できますか?
通知カードに書かれた氏名・住所が今の住民票と同じなら、運転免許証などの本人確認書類と組み合わせて提出できます。住所や氏名が変わっている場合は、マイナンバー記載の住民票の写しを用意しましょう。
マイナンバーと居住地国の届出はどちらも必要ですか?
どちらも必要です。マイナンバーは国内の税務署への報告用、居住地国の届出は2026年1月から始まった外国の税務当局との情報交換用で、別々の手続きです。
引っ越して住所が変わったらマイナンバーを出し直す必要がありますか?
マイナンバー自体は引っ越しても変わりませんが、取引所に登録している住所の変更手続きは必要です。変更の際に、新しい住所が分かる本人確認書類の提出を求められるので、マイページの登録情報の変更メニューから手続きしましょう。
法人で口座を作るときもマイナンバーが必要ですか?
法人の場合は、会社の個人番号ではなく13桁の法人番号を提出します。あわせて登記事項証明書や、取引担当者の本人確認書類なども求められます。
海外の取引所にもマイナンバーを提出するべきですか?
金融庁に登録していない海外の取引所は、日本のマイナンバー法にもとづく管理の対象外です。日本に住む人がマイナンバーを提出する相手は、登録を受けた国内の取引所に限るのが安全です。
仮想通貨のマイナンバー提出まとめ
仮想通貨の取引所がマイナンバーの提出を求めるのは、レバレッジ取引の支払調書や、令和8年度税制改正で作られた年間取引報告書など、税務署への報告に個人番号が必要だからです。
マイナンバーは法律で決められた税の手続き以外には使えず、取引所には厳重な管理が義務付けられています。
提出はアプリやWebサイトから数分で終わり、マイナンバーカードがあれば1枚で番号確認と本人確認の両方を済ませられます。
未提出のままでもすぐに口座が使えなくなるとは限りませんが、レバレッジ取引の申し込みなどで手続きが止まることがあり、確定申告の義務もなくなりません。
2026年1月からは居住地国の届出も別に必要になったので、口座を作るときはマイナンバーとあわせて済ませておきましょう。
これから口座を作るなら、金融庁に登録された国内取引所を選び、公式アプリからマイナンバーを提出するところから始めてみてください。