MEXC法人口座は機関投資家認証で開設できる

MEXCの公式サイトを見ても、法人口座っていう項目が見つからないの?
MEXCでは法人向けの審査を「機関投資家認証」と呼んでいます。
MEXCで法人名義のアカウントを持ちたいとき、探すべき言葉は「法人口座」ではありません。
MEXCの本人確認は個人向けと法人向けに分かれていて、法人向けのほうは機関投資家認証という名前で用意されています。
会社やファンド、信託といった組織のための認証で、個人の本人確認よりも会社の統治や持ち主の情報を細かく求められるのが特徴です。
呼び方が違うだけで手続きが無いと勘違いして、国内取引所だけで検討を止めてしまう法人担当者は少なくありません。
申し込めるのはWebサイトからだけ重要度:★★★★★
機関投資家認証は、いまのところWebサイトからしか申し込めません。
スマートフォンのアプリには切り替えの導線が用意されていないため、外出先のアプリだけで完結させようとすると入口にたどり着けません。
手順としては、公式サイトにログインしたあと画面右上の人型アイコンから「本人確認」を開き、画面右側にある「機関投資家認証はこちら」を押します。
会社の書類はパソコンに保存されていることが多いので、はじめからパソコンで作業するほうが結局は早く終わります。
認証が通ると出金の上限が上がる重要度:★★★★☆
機関投資家認証を通す実利は、出金の上限が引き上げられることです。
MEXCは機関投資家認証済みのアカウントについて、24時間あたり400BTCまでの出金上限を案内しています。
法人の資金は個人より一度に動く金額が大きくなりやすいので、上限が低いままだと決済のたびに何度も分割して出金することになります。
機関投資家認証を通すと得られること
- 24時間あたり400BTCまでの出金上限
- 法人名義のまま資産を管理できる(役員個人の名義を借りない)
- 法人向けの追加サービスの案内対象になる
日本の法人でも申し込みは受け付けている重要度:★★★★☆
MEXCは日本の金融庁に暗号資産交換業者として登録していない事業者です。
ただし2026年9月時点で、日本からの新規登録や本人確認の申請そのものが止められているわけではなく、法人の申請も受け付けられています。
登録が無いことと使えないことは別で、ここを混同すると検討の入口で判断を誤ります。
一方で、登録が無いために国内取引所とは違う扱いになる部分があり、それが後半で扱う税務と保護の話につながります。
MEXC法人口座の開設に必要な書類

用意する書類って、国内の取引所と同じ感じなの?
種類は似ていますが、英語で出すという条件が加わります。
MEXCの機関投資家認証で求められる書類は、大きく4つの分類に整理できます。
会社の意思決定を示すもの、登記を証明するもの、持ち主をたどるもの、そして関係者の身分証明です。
| 分類 | 具体的な書類 |
|---|---|
| 会社の意思決定 | 取締役会決議書(雛形あり)、定款(最新の改訂を反映したもの) |
| 登記の証明 | 登記事項証明書、公式の登記情報サイトの検索画面(検索日が分かるもの) |
| 持ち主の情報 | 株主名簿、役員名簿、持株構成図(雛形あり) |
| 身分証明 | 対象になる関係者全員のパスポート |
取締役会決議書は口座開設を承認した証拠重要度:★★★★★
4分類のうち、国内取引所ではあまり求められないのが取締役会決議書です。
これはMEXCに法人アカウントを開くことを会社として正式に決めたという証拠にあたる書類で、権限のある人の署名が必要です。
MEXCは雛形を配布しているので、自社の様式で一から作るよりも、雛形に沿って作ったほうが差し戻しが少なくなります。
持株構成図についても同じく雛形があり、最終的な受益者と持株比率が分かる形にまとめます。
パスポートが要るのは4種類の関係者重要度:★★★★★
身分証明の条件は、日本の法人にとって見落としやすい部分です。
MEXCは有効なパスポートを求めていて、対象は取締役、権限を与えられた代表者、経営を実際に取り仕切る立場の人、そして25%以上を保有する最終的な受益者の全員です。
国内取引所では運転免許証やマイナンバーカードで足りることが多いため、役員の誰かがパスポートを持っていないという理由で止まる例が考えられます。
申請を始める前に、対象になる人を書き出してパスポートの有無と有効期限を確認しておくと、途中で待たされずに済みます。
役員が数名の会社であれば数日で確認できますが、持株会社を挟んでいる場合や創業メンバーが株式を分け合っている場合は、誰が25%以上にあたるのかの整理から始めることになります。
パスポートの申請そのものに1週間から2週間かかることもあるため、対象者が未取得だと分かった時点で並行して手続きを進めておくと全体が遅れません。
日本語の書類には英訳を添える重要度:★★★★★
もう一つの関門が言語です。
MEXCは英語以外の書類について、証明付きの英訳を添えるよう求めています。
登記事項証明書も定款も株主名簿も日本語で発行されるため、日本の法人はほぼすべての書類に英訳を用意することになります。
英訳でつまずきやすいところ
- 翻訳の手配と納品に数日から2週間かかる
- 登記事項証明書は取得日が新しいものを求められるため、取得と翻訳の順番を誤ると出し直しになる
- 社名や住所の表記が書類ごとに揺れると、同じ会社だと判断されにくくなる
書類の中身よりも、この英訳の段取りで日数を落とすほうが実際には多くなります。
機関投資家認証を申請する5つの手順

実際の申請って、どんな順番で進むの?
書類の準備から審査まで、画面は5つの段階に分かれています。
画像は公式ガイドが載せている操作画面で、右上の人型アイコンを押すと出るメニューの中ほどに「本人確認」の項目があります。
経理担当者がここを開き、画面右側の「機関投資家認証はこちら」へ進むのが入口です。
MEXCの機関投資家認証は、書類の準備、企業情報の入力、会員情報の入力、書類のアップロード、審査という5つの段階で進みます。
途中で保存して戻れる作りではあるものの、書類が半分しかそろっていない状態で始めると入力のやり直しが増えます。
手順1と2は書類準備と企業情報の入力重要度:★★★★☆
最初の画面では必要書類の一覧と雛形が示されるので、ここで不足がないかを確認します。
次の企業情報では、会社名、登記上の住所、実際に事業を行っている住所を入力します。
登記上の住所と事業所が違う会社は珍しくありませんが、入力した住所と提出書類の住所は必ず一致させます。
英訳した書類側の表記に合わせて入力するのが、食い違いを避ける近道です。
手順3は会員情報で関係者を登録する重要度:★★★★★
会員情報の画面では、取引責任者、経営を監督する立場の人、最終的な受益者の情報を入力します。
ここで入力した人がパスポート提出の対象になるため、書類準備の段階で洗い出した名簿と突き合わせながら進めます。
持株比率が25%を超える株主が複数いる会社では、この画面の入力量が一気に増えます。
親会社を挟んでいる場合は、たどった先の個人まで書く必要があるので、持株構成図を先に完成させておくと迷いません。
取引責任者には、実際にMEXCの画面を操作して資金を動かす担当者を置くのが一般的です。
代表者が名前だけ入れて実務は別の社員が行う形にすると、あとで問い合わせが必要になったときに本人確認が取れず手間が増えます。
手順4と5はアップロードと審査待ち重要度:★★★★☆
書類をアップロードして内容に同意すると、審査に進みます。
MEXCは審査期間について、提出資料の完全性と正確性によって変わるとだけ案内していて、何営業日という明示はしていません。
国内取引所のようにおよその日数が示されないので、決算や資金移動の予定から逆算するときは余裕を多めに見ておくのが安全です。
申請前にそろえておくと早いもの
- 登記事項証明書と証明付きの英訳
- パスポート対象者の一覧(氏名・役職・持株比率)
- 署名を済ませた取締役会決議書
- 最終受益者まで記載した持株構成図
個人認証から切り替えるときに決めること

もう個人でMEXCを使ってるんだけど、そのまま法人にできるの?
切り替えの導線はありますが、個人の認証はそのまま残りません。
すでにMEXCを個人で使っている人が法人でも使いたい場合、本人確認の画面から機関投資家認証へ切り替える形になります。
このとき知っておきたいのが、切り替えたあとの個人認証の扱いです。
個人の認証は法人の認証に置き換わる重要度:★★★★★
MEXCの案内では、個人の本人確認を済ませたアカウントで法人の認証が承認されると、それまでの個人認証の状態は無効になります。
同じアカウントの中で個人と法人を並行して持てるわけではない、と考えておくのが安全です。
国内取引所では個人口座と法人口座を別々に開くのが一般的で、bitbankのように個人口座からの切り替え自体ができない事業者もあります。
MEXCは切り替えができる代わりに、切り替えた瞬間からそのアカウントは法人のものになる、という違いがあります。
登記番号1つにつきアカウントは1つ重要度:★★★★☆
もう一つの制約が、会社の登記番号は1つのアカウントの認証にしか使えないという点です。
部署ごとや用途ごとにアカウントを分けたいと考えても、同じ法人で複数のアカウントを認証させることはできません。
運用を分けたい場合は、アカウントを増やすのではなく、社内の権限や記録の付け方で分ける設計にする必要があります。
切り替える前に個人の残高と履歴を整理する重要度:★★★★☆
個人で使っていたアカウントを法人へ切り替えると、そこにある資産は法人のアカウントの中の資産として扱われることになります。
個人の資産と法人の資産が同じ場所に混ざると、あとから取引履歴を分けるのは簡単ではありません。
切り替える前に個人の資産を移すか、あるいは個人はそのまま残して法人は新しいアカウントで申し込むかを、税理士と相談して先に決めておきます。
会計処理の観点では、後者のほうが履歴が混ざらず説明しやすくなります。
法人で使う前に確かめる税務の出口

口座さえ開けば、あとは普通に使えばいいんじゃないの?
法人は決算があるので、持ち方まで決めてから開くほうが安全です。
法人で暗号資産を持つときに個人と決定的に違うのが、決算での扱いです。
法人が保有する暗号資産には期末時価評価課税という仕組みがあり、売っていなくても期末の時価で評価し直した含み益が課税の対象になり得ます。
長期で持つつもりだったのに、期末のたびに税金が先に出るという状態になりかねません。
適用除外の要件は国内の業者を前提にしている重要度:★★★★★
この期末時価評価課税には適用除外の道が用意されていますが、要件がはっきりしています。
おおむね1年以上の移転制限がかけられていること、そしてその制限を暗号資産交換業者へ通知し、認定資金決済事業者協会のサイトで公表してもらうことが求められます。
つまり日本の登録業者を通した通知と公表が前提で、取引所に置いていつでも売れる状態のままでは要件を満たしません。
MEXCは日本の暗号資産交換業者として登録しておらず、協会を通じた公表の経路もないため、確認できた範囲ではこの適用除外を使うことはできません。
移転制限を扱っているのは国内の取引所重要度:★★★★☆
実際に移転制限を取引所側で受け付けているのは、確認できている範囲では国内の3社です。
| 項目 | SBI VCトレード | Coincheck | bitbank |
|---|---|---|---|
| 提供の形 | サービス | サービス | 専用フォームでの要請 |
| 対象銘柄 | 39銘柄 | 4銘柄 | 取扱済みの暗号資産 |
| 最低額 | 1銘柄1,000万円以上が原則 | 1銘柄1,000万円以上 | 基準に記載なし |
| 費用 | 解除1件10,000円(税別) | 利用手数料は無料 | 受付1件ごとに事務手数料 |
銘柄の幅を取るならSBI VCトレード、手続きの軽さならCoincheck、という選び方になります。
いずれも1銘柄あたり1,000万円以上といった金額の壁があるため、中小法人が必ず使えるわけではない点にも注意が必要です。
令和8年度の改正も海外取引所は対象外重要度:★★★★☆
2026年3月に成立した令和8年度の税制改正では、一定の要件を満たす暗号資産の利益に20.315%の申告分離課税を適用する内容が盛り込まれました。
ただし適用が始まるのは改正法の施行日の翌年からとされていて、2028年1月からという見方が有力です。
そのうえ海外の取引所や分散型取引所での取引は対象外とされており、MEXCでの取引はこの枠組みの外に置かれます。
税率だけを見て法人か個人かを決めると前提が崩れやすいので、損益通算や10年の繰越といった法人ならではの利点と並べて考えるほうが実態に合います。
決算の前に税理士と決めておくこと重要度:★★★★★
ここまでの内容は、口座を開いてから調べても間に合わない部分です。
期末の時価評価をどう扱うのか、長期で保有する銘柄は国内に置くのか、といった方針を先に決めておくと、決算前に慌てずに済みます。
税制は動きが速いため、最終的な判断は必ず顧問税理士に確認してください。
無登録業者としてのリスクと国内取引所との使い分け

金融庁に登録がないって、法人にはどれくらい影響するの?
守られる仕組みの外にある、という前提で使う必要があります。
MEXCは無登録で暗号資産交換業を行っているとして、金融庁から警告を受けています。
2023年3月と2024年11月の2度にわたる警告があり、日本の登録業者ではないという事実がはっきりしています。
日本の居住者がMEXCを使うこと自体が禁じられているわけではありませんが、法人が使う場合は説明責任の重さが個人とは違います。
登録が無いと何が変わるのか重要度:★★★★★
国内の登録業者には、顧客資産の分別管理や、万一に備えた履行保証の仕組みが法律で求められています。
登録の無い事業者はこの枠の外にあるため、出金が止まったり事業者が破綻したりしたときに、国内の制度に沿った救済を期待することはできません。
法人の役員には会社の資産を適切に管理する責任があるので、この違いを理解したうえで金額と期間を決めることが求められます。
社内で稟議を通すときも、登録の有無と保護の範囲は書き添えておいたほうが後々の説明が楽になります。
用途で置き場所を分ける考え方重要度:★★★★☆
現実的な落としどころは、どちらか一方に決めることではなく、目的で置き場所を分けることです。
MEXCは取扱銘柄の多さと先物の品ぞろえに強みがあり、国内では扱っていない銘柄に触れられます。
一方で長期で保有する資産や、決算で適用除外を検討したい資産は国内の取引所に置くほうが筋が通ります。
日本円の入出金についても、国内の取引所であれば銀行振込でそのまま入金できますが、MEXCは日本円の直接の入出金経路を持たないため、国内の取引所で暗号資産を買ってから送るという一手間が挟まります。
この送金にかかる手数料と時間も、使い分けを決めるときの判断材料になります。
法人での使い分けの目安
- MEXCに向く用途:国内で扱いのない銘柄の売買、短期の取引、少額での検証
- 国内取引所に向く用途:長期保有、決算で適用除外を検討する資産、日本円の入出金
始めるときは小さく試して記録を残す重要度:★★★★☆
法人で新しい取引所を使い始めるときは、いきなり大きな金額を動かさないほうが安全です。
まず少額を入金して出金まで一度通し、着金までにかかる日数と手数料を記録しておきます。
取引履歴は会計処理でも税務調査でも必要になるので、月次で書き出して保管する運用を最初から決めておきます。
こうした手順を踏んでおくと、担当者が変わったときにも引き継ぎができます。
MEXC法人口座でよくある質問
MEXCの法人口座は個人事業主でも開設できますか
機関投資家認証は会社やファンド、信託といった組織を対象にした認証で、登記事項証明書や取締役会決議書の提出が前提になります。屋号があっても法人格のない個人事業主は対象外と考えるのが自然です。個人事業主として使う場合は個人の本人確認で利用し、法人化したあとに改めて機関投資家認証を申し込む流れになります。
審査にはどれくらいの日数がかかりますか
MEXCは提出資料の完全性と正確性によって審査期間が変わるとしており、何営業日という明示はしていません。日本の法人の場合は書類の英訳に数日から2週間かかることが多いため、準備期間も含めて1か月程度を見ておくと予定を立てやすくなります。決算や資金移動の期日が決まっているなら、そこから逆算して早めに動き出してください。
提出書類は日本語のままでも受け付けてもらえますか
MEXCは英語以外の書類について証明付きの英訳を添えるよう求めています。登記事項証明書や定款、株主名簿は日本語で発行されるため、日本の法人はほぼすべての書類に英訳が必要になります。翻訳の手配に時間がかかるうえ、登記事項証明書は取得日が新しいものを求められるので、取得と翻訳の順番にも注意してください。
個人で使っているアカウントを法人に切り替えられますか
本人確認の画面から機関投資家認証へ切り替えることはできますが、法人の認証が承認されると、それまでの個人認証の状態は無効になります。同じアカウントで個人と法人を並行して持つことはできないため、個人の資産をどうするかを先に決めておく必要があります。履歴を混ぜたくない場合は、個人のアカウントは残して法人は別のアカウントで申し込む方法を検討してください。
MEXCで期末時価評価課税の適用除外は使えますか
適用除外の要件には、移転制限を暗号資産交換業者へ通知し、認定資金決済事業者協会のサイトで公表してもらうことが含まれます。MEXCは日本の登録業者ではないため、確認できた範囲ではこの経路がなく適用除外は使えません。長期で保有する資産で適用除外を検討したい場合は、移転制限を受け付けている国内の取引所を利用することになります。
日本の法人がMEXCを使うことは違法ではありませんか
金融庁の警告は無登録で業を行っている事業者に対して出されるもので、利用者側を罰する仕組みではありません。日本の居住者や法人が利用すること自体が禁じられているわけではないと考えられます。ただし国内の登録業者に求められる分別管理や履行保証の枠の外にあるため、保護の範囲が違うことを理解したうえで金額を決めてください。
法人のアカウントは複数作れますか
会社の登記番号1つにつき、機関投資家認証を完了できるアカウントは1つに限られます。部署ごとや用途ごとにアカウントを分けることはできないため、運用を分けたい場合は社内の権限管理や記録の付け方で対応します。サブアカウントの機能を使う場合も、認証の対象は親となるアカウント1つである点は変わりません。
MEXC法人口座のまとめ
MEXCの法人口座は機関投資家認証という名前で用意されていて、Webサイトから申し込めます。
必要な書類は会社の意思決定、登記の証明、持ち主の情報、身分証明の4分類で、日本の法人は証明付きの英訳を添える点が国内取引所との大きな違いになります。
パスポートは取締役や25%以上を保有する最終受益者まで求められるので、申請前に対象者を洗い出しておくと止まりません。
個人のアカウントから切り替えると個人認証は無効になり、登記番号1つにつきアカウントは1つという制約もあります。
そして最も重要なのが税務の出口です。
期末時価評価課税の適用除外は国内の登録業者を通した通知と公表が前提のため、MEXCでは使えません。
長期で持つ資産は国内の取引所に置き、国内で扱いのない銘柄の売買はMEXCで、という使い分けが現実的な落としどころになります。
開設できるかどうかではなく、決算まで含めて使えるかどうかで判断してください。